節約といっても、日々の食費を切り詰めてわびしい暮らしをすればいいのではない

要は、「お金を意識的に使う」ということです。同じお金でも、何も考えずに浪費する人と、常に効率的なお金の使い方をする人とではお金の価値がまったく違う。年収が同じでも、そのお金では足りなくて貯蓄する余裕などどこにもないという人と、同じお金で生活を楽しみ、なお貯蓄ができる人の違いがここにあります。
 お金のことをいい加減に考えず、よく考えてしっかりと手間をかける家計にお金は集まってきました。お金はさびしがり屋なのです。
 そんなお金に対する姿勢がひと目でわかるものがあります。それは、その人の財布≠ナす。
 どんな財布を使っているか、その財布がどんな状態かを見れば、お金を貯められる人か貯められない人か、すぐにわかります。それは、財布がお金と人とのいちばん身近な接点だからです。

 

人の財布を見ると、その人がお金を貯められる人か、貯められない人かがわかります。

その人の現在、そして将来の経済状況がかなりの確率で判断できるのであります。
 私はこれまでに1万5000件を超える家計相談を行ってきた。家計を診断し、アドバイスを行うとなると、年収や支出を見せていただくだけでは何もできないです。資産状況はもちろんのこと、家族構成や職業、親子関係や夫婦関係、これからの家族の将来像や考え方まで、すべてをお聞きして初めて適切なアドバイスが可能になります。
 家計相談は有料なので、アドバイスが終わったあとで相談料をいただくのですが、そのときに財布を目にすることになります。すなわち、その人の経済状況やお金との向き合い方を細かく伺った直後に、その人の財布を目にします。これを続けているうちに、財布とその人の金銭感覚との関係がわかるようになったのです。

 

 その人がお金に対してどんな意識を持っているか、普段からお金にどのように接しているかを財布は如実に物語っています。
 まず、貯まらない財布から見ていきましょう。その典型がブタ財布≠ナす。
 中途半端リッチで「お金が貯まらない」と嘆くサラリーマンに多いブタ財布≠ニはどんなものか、次に特徴を挙げるので、ご自分の財布を取り出してチェックしてほしい。
〈ブタ財布の特徴〉
●レシートや領収書とお札が同じ場所に入っている
●お札の金額や向きがバラバラ
●クレジットカードやポイントカードがたくさん入っている
●小銭がたくさんたまっている
●財布がパンパンにふくらんでいる
●財布が型崩れしている

 

 ブタ財布の実態をもう少し詳しく説明しましょう。
 ブタ財布は、二つ折り方式の財布であることが多い。
 お札を入れる場所にレシートや領収書を一緒に入れるため、お札と一緒にレシートが出てきました。クレジットカードを何枚も持ち、全部財布に入れています。買い物のついでにもらったポイントカードもたくさん入っています。さらに、診察券や行きつけの店のメンバーズカードも突っ込んであります。小銭入れの中にも折りたたんだレシートが交じっています。なかには、財布にメモ代わりの付箋まで貼ってある人もいます。
 これらの結果、財布はパンパンに膨れあがり、二つ折り財布を二つ折りにして留めることができないです。こんな状態の財布をブタ財布≠ニいう。
 男性の多くは財布を後ろポケットに入れます。そのために二つ折り財布を愛用する人が多いのですが、ブタ財布を後ろポケットに入れると財布が型崩れしてしまう。座るとお尻の圧力で財布が丸くゆがんできました。乱雑に使うから、財布の角がすり切れたり、ひどい場合は穴が空いていることもあります。こんな悲しい状態の財布を使っている人を見ると、「それではお金が貯まりませんよ!」と言いたくなってしまう。

 なぜブタ財布を使う人にはお金が貯まらないのか。

 ブタ財布は、お金を管理する能力がないことの証拠だからです。
 お札がレシートの間に埋もれているようでは、お金がいくらあるかもわからず、適当にお札を探して引っ張り出し、適当に使う。おつりを受け取ればまたレシートと小銭が増え、それをまた財布に押し込むので、ブタ財布はますます膨らんでいく。
 レシートは、お金を使ったことを記録する書類にほかなりません。本来なら定期的に取り出して家計簿につけたり、チェックしたりする作業が必要です。また、サラリーマンには経費を立て替え払いして領収書を受け取るシーンもあります。領収書が溜まっているというのは、経費精算をしていない証しです。経費は速やかに精算しないと、期限が遅れて立て替えたお金が支払われないことだってあるでしょう。つまり、レシートや領収書を溜め込んでいるのはお金に対してアバウトでルーズな証拠といえるのです。
 クレジットカードを何枚も持つと、つい使いすぎる可能性が高まます。クレジットカードの枚数は最小限にとどめるべきです。また、使いもしないポイントカードを持つ必要はないです。
 ブタ状態の程度は人によって差があるが、いずれにしてもブタ財布≠フ持ち主は、お金は好きかもしれないがお金を愛していないです。そんな人にお金を貯めることはできないのです。
 財布の代わりにマネークリップを使う人にもお金は貯まりません。
 マネークリップを使うのは、一見スマートなイメージがあります。かっこいいお金持ち、というイメージさえあるかもしれないです。
 確かに、マネークリップを愛用する人に貧乏な人は少ないです。ある程度はお金を稼ぐ人か、もともと資産のある家に生まれた人なのかもしれないです。ですが、実家に親の財産があったとしても、本人の貯蓄額はそう多くないと考えられます。少なくとも、自力でつくった財産はごく少ないはずです。
 なぜなら、マネークリップにはお金に対する執着がまったく感じられないからです。お金を貯めることに前向きな人は、まずマネークリップは使わないです。大富豪でマネークリップを財布がわりに使っている人は今まで見たことがないです。
 そもそもマネークリップは、欧米でチップをスマートに渡すために発達した道具です。お金を出しやすくつくられている道具を、お金を貯めたい人が使うはずがないです。

 

 チップを渡す習慣のない日本でマネークリップを使うとなれば、その人が意識しているのは、お金を払うときの「かっこよさ」だけです。そんな人は、お金を使うことしか考えていないので、いくら稼いでもすぐに使ってしまう。すなわち浪費家≠ニいって間違いないです。
 さらに、マネークリップではレシートを受け取っても保管することができないので、そのまま捨ててしまうと考えられます。受け取った小銭は、ポケットに無造作に放り込む。これでは、いつ、どこで、いくら使ったかを把握することなど不可能です。クリップではさめるぐらいお札を持っているのだからキャッシュフローは大きいかもしれませんが、ストックはいつまで経ってもつくれないタイプです。
 こういう人は、どれだけ多額の財産を相続したとしても、どんどん使ってしまう可能性が高い。財産が底をついたとき、地獄を見ないように祈るばかりです。